○鬼種の方々が引っ張りだこの日○

 晴天軽やかな2月3日。 本日は全国的に『節分の日』なのでありました。

「と、いう訳で〜……っ!」

 店長、溜めに溜めて〜!

「鬼役の方に来て頂きましたーっ!!!」


うわぁああ……


『豆まき頂上決戦! ―それは、愛と絆の物語―』(←サブタイ)


 ここはお馴染み、師範の道場。 店長の『豆まきしましょう』招集で全員顔を揃えてみたらこの展開である。
 ちなみに全員、にろさんとは顔合わせ済み。

「という事で、にろさんに鬼役を頼みました! 皆で楽しく豆まきしましょう!」


「叔父上殿、何を持っておられるのだ?」
「アポロチョコとかいうのじゃねぇか? キバトラが食ってるのを見たことあるゼ?」


 師範の疑問に、ナギが顎に手をやりつつ答える。
 確かに、円錐形の小さな物体を持っておられる。 だが、アポロチョコがピンクと黒の二色構成なのに対し、にろさんが手の上でポンポンしているそれらは黄色一色である。

「ではにろさん、準備を……」

ビシィイイイイイッ!!!!!

「な……?」

「虎鉄も鬼役に決まっているだろう?」

「な、何くっつけてるんですかぁああ!!!」

 くっ付けられた三角錐の物体、にろさんお手製の鬼角を取ろうとすると……

「痛たたたたたたたたた!!!!!」

 頭の毛にバッチリくっついてビクともしない!!!

「安心しろ、源司さん特製のノリだ。 30分もすれば簡単に取れる」


「何作ってんすか……?」
「いや…まさかこんな事に使うとは……」

 にろさんとも旧知の仲の源司さん。
 今回のノリ製作依頼も、てっきり本屋さんで使うものと思っておられたご様子です。

 そんな源司さんをよそに、にろさんの説明は続く。

「だがそれまでは絶対に剥がれん強力なヤツだ」
「無理に剥がしたら、また禿げるぞ?」


「ギャアアアアアアアアアス!!!!!」

 そのまま店長、にろさんにズルズルと引っ張られて、普段飲み会で使っている大部屋とは別の、奥の小部屋に連れ込まれる。

「ちょっ! やっ!! やめて下さい!!! あっ!? 何するんですかっ!!? やだ!!! えっち!!! 意味わかんない!!!! 駄目っ、ちょっ、やっ……」


「嫌だぁあああああああ!!!!!」

 部屋の襖が開き、店長が出てきた。

「む、無理ですよこんなの!!!!!」
「何言ってるんだ、鬼牙に虎パンツの虎獣人なんて最高じゃないか!」
「う、ウルサイですよ! 何で布っきれ一枚なんですか!」

セクシー・ダイナマイツ!!!!!


続く→


●マメ知識●
師範の鉢巻き『そいじょい』→SOY JOYです。
食べ物の名前で、門下生が話しているのを耳にしたんですが、師範はコレを

豆まきを楽しむ事

だと思っています。

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