何かすごいモコモコになった源司さん! どうするどうなるトラトラチーム!
ブツッ
不意に店長、何かが切れる音を聞く。 ……何? 何の音、今の……?
色々見てみると、ふと源司さんの足元に落ちている布キレに気付く。
……何だろ、あの白っぽい布……? 白くて長い、片側の両先端から紐が(千切れてるけど)伸びている、あの……見覚えのある……ぬの……は……
サーッ
ま、まさか…! まぁさぁあかぁあああ!!!
源司さんも、足元のそれに気付いた!!
めくるなぁあああ!!!!!
見事なトラトラチームの連結プレイ(ヤラシいな)により、『神社のお祭神様チ○コ丸出し事件』はからくも未然に防がれた!
ありがとうトラトラチーム! 永遠なれ、トラトラチーム!!
「……何か、現実逃避してるっすね、店長さん」
「……えぇえぇ、負けましたよ! 片手でチンコ抑えながら片手で綱引きした源司さんに! えぇえぇ負けましたとも!!!」
お祭りの帰り道、店長マジ涙目。
「いや、冷静に考えればですな、虎とライオンと馬と狼が竜に勝てるかと考えればまぁ無理なわけで、そもそも『竜虎対決』なんて言いますけど、そこ同等?みたいな所があるではないですか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「……お前って、慰めるセンスゼロな」
「……チクショォオオオオオ!!!」 「おぉーい」
店長の叫びに被さって何か聞こえた。 振り返ってみると、源司さんがこちらに走ってくるのが見えた。
「……なんとか追いつきましたな。 これ、先程のお礼です」
源司さんが店長に差し出したもの、それは、例の景品の日本酒だ。
「結局私は特別ゲスト扱いで1戦しかしていないですからな、町内会長を説得するのに随分と時間がかかってしまいました。 まぁ後半は会長さん、もう涙目になっていましたが」
うっすらと源司さんが笑った。
「良かったじゃないっすか、店長さん!」
「やはり善行はしておくべき、という事ですな」
「いわゆる『試合に負けたが勝負に勝った』ってやつだな!」
皆、店長に笑いかけてくれている。
「……タンさん、これから道場の大広間貸してもらえませんか?」
「……? えぇ、構いませんが」
「このお酒、皆で飲みませんか? 源司さんも」
「宜しいのですか? それが飲みたくて、皆さんに手伝っていただいて参加なさったのでは……?」
「皆と飲むのが、一番美味しく飲めそうですから」
そう言って、店長が皆に微笑みかける。
運動した後だからだろう、頬が少し熱くなるのを皆が感じた。
夜風が気持ち良い、遠くで太鼓の音が聞こえる。 見上げれば満天の星空。
そんな、夏のある日のちょっとしたおはなし。
おしまい。