「…昨日が誕生日…!!?」

「えぇ、まぁ…」

がっくりとうなだれる師範。
「何故昨日お会いした時に言って下さらんのです…」

「だって恥ずかしいじゃないですか…何か催促するみたいで」

「俺、ケーキ買って来るっす!! 足には自信ありますから!!!」
「え、ちょ、いいよ! 愁哉君!!」
「うむ、そのとおり! その必要は無いぞ、茶道寺君!」

源司さんが待ったをかける!

「今、私が…」


「買って来ましたから!!!」


「どういうプロセスで!!? っていうか

何故脱ぐ…!!!?」


「短編 今日は何の日」




「昨日という事は、虎鉄さんのお誕生日は5月6日なのですな」

モフモフとケーキを頬張りながら源司さんが訊く。

「? えぇ、そうですけど…?」
「なるほど、ゴムの日ですな」

「ご…」


※妄想の中でゴムを装着してます

「なるほど、店長さんは避妊に余念が無いということですな…?」

「何でそんな事言うんですかぁあああ!! 幸志朗さんの意地悪〜!!!」

「ハハハ、スイマセンスイマセン!」
(良かった! こんな事もあろうかと、休憩中の門下生の会話に聞き耳を立てて本当に良かった…!!)

「俺、ちょっとトイレっす」
「いってらっしゃーい!」

「あれ、どうしたんですか…ナギさん?

「…俺…お前より年下だった……」
「あ、そうなんですか、誕生日? じゃ、自分がお兄ちゃんですね!」

「ハ…ハハ…そう…な……」

ナギの中で、何かが音を立てて崩れだした…

「で、ナギさんのお誕生日っていつなんですか?」
「…6月9日…」

「6月9日…!!?」

※35歳になった虎鉄さんは過激です

「…シックスナインって何だよ?」

ナギさんがいぶかしげに訊いてくる! しまった、声に出してしまった!!!

「ナギさん、えと、知らないんですか? シックスナイン」
「知らねぇも何も、英語で言っただけだろ? 6と9」
「…本当に知らないんですね。 シックスナインって言うのはですね、こう…二人が上下逆に向かい合って、お互いのおちんちんを口に含んじゃったり…」
「何だそれ? 互いのチンポを…って、男同士限定の行為か…?」

ギャァアアアアアアアアス!!!!!

「あ! えと、ち、違いますよ!! そう言った方がわかりやすいかな〜って! 普通に男女でやる行為ですよ!?」
「ふーん…」

キバトラが顔を真っ赤にしてる…なんだろ?
ひょっとしてキバトラって…

そっち方面で苦労してるのか?←惜しい!

シックスナインとやらも、実はした事ねぇとか…。 言ってくれりゃ、俺でよかったらしてやるのに。 とは言え、ここじゃ流石に訊けねぇか…。

その時、ナギは  急に理解した

そっか…俺のなりたいお兄ちゃんって…
俺、こいつの支えになってやりたかったんだ…。 コイツにいつも笑っていて欲しかったんだ。

思わずプッと吹き出してしまう。

何やってたんだろうな、俺。 こんな大事な事忘れちまってたなんてよ

「なぁ、キバトラ…」
「はい?」

「今度、うちに来るか?」


「え! いいんですか!?」
「あぁ、何か美味いモンでも食わせてやるよ。 俺でよけりゃ、何でも相談しろ、な?」
「うわぁ〜! 嬉しいなぁ! ありがとうございます、ナギさん!!」

ナギは、
ようやく一歩前に踏み出せたような気がした


「ところで、幸志朗さんのお誕生日はいつですか?」

「私ですか? 9月8日ですが」

「く、9月8日…!?」

※一般のサイトでは、もうお見せ出来ません

股間への急速な血流を確認!! 即座に師範の背中から飛びのく!!!

クパァ…とは何ですか?(流石に聞いた事無いな)」

!!! また声に出した、自分!!?

「ク、クパァとはですね…おちんちんを求めてお尻が開く擬音と言いましょうか…『口ではイヤだと言っても体は開いてるぜ?』みたいな…」
「お尻…ですか? ではそれも男性同士の特別な言葉なのですかな…?」

ギギギギャアアアアアアアアアス!!!!!

「いえ!! ち、違いますよ!!! 普通に男女でも、えっと…女性のゴニョゴニョが開く時に使われる擬音なんですが、何と言いますか…」

? 店長さん、何を照れてらっしゃるんだろう…?
お尻に興味があったりとか…店長さんが「実は同性愛者」だとか

ハハ、流石にそんな都合が良い事ある訳が無いな…。 純粋に言い間違って照れてらっしゃるのだろう。

私の尻の穴なら、いつでも店長さんに開いているのだが…流石に言えぬしな…。

しかし、本当に私は
この人の事が…好きなのだな

自嘲気味に微笑みながら、店長への想いを新たにする師範であった。


「あの、げ、源司さんのお誕生日はいつなんですか?」
深く突っ込まれまいと、源司さんに話題をふる店長!

「私には誕生日というものがありませんので」

「…え!? そうなんですか!!?」
「はい。 神は出生方法が違いますので、誕生日というものが無いのですな」
「…そ、そうなんですか…。 すいません…」

!!!
しゅんとしてしまった店長に、源司さんがあたふたする!
「い、いえ! 誕生日はありませんが製造年月日ならありますぞ! それで良ければその日を誕生日に致しましょう!」

「(…製造年月日?) で、何日ですか?」
1月9日ですな。」

「!!! 1月9日!!?」

※青少年が見ていることを店長は知りません

(私がいってしまう…? ひょっとして虎鉄さん…
私が以前、神の力を失う覚悟をしていたことに気付かれていたのでは…?

大丈夫ですよ、虎鉄さん。 私はどこへも行きません。 ずっと君と一緒です
ずっと寄り添って  生きていきます

そう決意する源司さんであった。


にしても…

「(すごい…! 誕生日すごい…!!!)」
「ただいまっす〜」

「愁哉君!! 誕生日いつ!!?」
「!! 虎鉄さん、、どうしたんすか! 鼻血!!」

「いいから!!! 誕生日いつ!!!?」
「し、4月19日っすけど…」

「し…!!!!!」

※ブラック店長 降臨!!!

「茶道寺いくつになったんだ?」
「今年で28っすね」

「に……!!!!!」

※阻止限界点を突破しました

「だ、大丈夫だよ…愁哉君!!!」

ガバッ!

「例え俺達が付き合う事になっても、俺絶対そんな事させないから…っ!」

カァアアアッと真っ赤になる茶道寺。
「な、つ…付き合うって!!? どうしたんすか、虎鉄さん、!」

店長はしがみついたまま頬をモフモフとこすり付けて泣いている。

サッパリ状況がわからないが…

俺と…虎鉄さんが  付き合う…?
想像しただけで、胸が、そしてイチモツが熱くなる。
やはり自分は、この人が「そういう意味で」好きなのだろうか。 だとしたら…

その「心」が嬉しい

「俺…俺、虎鉄さんとなら…」

そう言いかけた時


猛獣の檻に迷い込んだ草食動物

自分のポジションを改めて思い知った茶道寺であった

がんば!


おしまい

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